ウェブの可能性

ウェブやデザインなどに関するトピックや考察のブログ

おもてなしのデザインとは、最高に気持ちのいい体験をデザインの力で提供すること

日経デザイン2012年1月号の特集は、選ばれる「もてなし」のデザイン 。直接ウェブとは関係ないが、共通の要素も多くあり参考になった。

顧客の財布の紐はますます固くなっている。その固さをやわらげるのが「もてなし」のデザインだ。ここで言うもてなしは、高級旅館や高級ブランドが提供するホスピタリティーとは一線を画す。多額のコストを掛けずにデザインの力で提供できるものであり、普及価格帯の商品やサービスを提供する企業こそ実践すべきデザインの活用法だ。

おもてなしのデザイン

これら3つの力を基に、独自のもてなしに取り組んでいる企業の事例を紹介している。全11記事のうち個人的に感動した3つの事例の概要について紹介したい。

イケアのナビゲーション

イケアでは、日本の典型定期な間取りを中心にモデルルームを数多く用意し、年齢や家族構成、子どもの数、趣味、賃貸か持ち家か、年収や仕事など非常に細かいペルソナを作り、「イケアの家具はこう使えばいい」という事例を具体的に示すことで、顧客を迷わせないナビゲーションをしている。

さらに、消費者調査で明らかになったお客様が抱える問題に対しても解決策を実践したり、その他親切な案内板など、きめ細かいもてなしのナビゲーションを作りあげている。

イケアの出した答えの一つは、その国の文化に徹底的に寄り添い、問題を一緒に解決するという究極のもてなしの姿勢に基づいたディスプレイデザインだった。

サンシャイン水族館のナビゲーション

サンシャイン水族館のおもてなしもまた素晴らしい。今回リニューアル内容のコンセプトを知り、すぐにでも行ってみたい気持ちになった。コンセプトは「五感で感じる水族館」。このコピーを見ただけでも相当のワクワクをもらった(笑)。

暗くてサインが目立ちくい水族館では、人々を順路どおりスムーズに進ませるナビゲーションが重要になる。理想は、来館者自身が海の世界に浸りつつ、ナビゲートされていることを意識せずにストレスなく館内を回遊できることだ。もてなしはここに尽きる。
サンシャイン水族館の空間デザインでは、狭い場所から広い場所へ、暗い場所から明るい場所へ、来館者が自然に向かいたくなる心理を巧みに応用している。空間の色の違いで、異なるゾーンに入ることがすぐに伝わる。

水槽内を演出するだけでなく、館内空間全体を光と音楽で演出し、お客様の気持ちまでもナビゲートさせるサンシャイン水族館。一度行ってみたい。

Aoyama Flower Market TEA HOUSE の
プレゼンテーション

青山フラワーマーケットを運営するパーク・コーポレーションのカフェ事業。店内のインテリアイメージは「農家が植物を育てている温室に、テーブルをそのまま持ち込んでくつろいでもらう場」とのこと。その通り、店内は植物だらけ(笑)。訪れたほとんどのお客様が最初にすることは「携帯で写真を撮ること」だそう。

カフェとしても十分に魅力的だが、もう一つ隠された目的がここにはある。それは「植物が、顧客をもてなすためのかかせないツールであることをデモする場所」。「インテリア+お花って素敵!」と思わせ、ファンを作り、本業の生花店の売上を上げる狙いもある。

店内を見渡して気付くことがある。霧吹きや洗い終わった花瓶など、花を手入れするための道具をあえてそのまま顧客の目に触れる場に出していることだ。また、スタッフの動きに目をやると、植物の手入れをしたり、食事とともに小さい花をトレーに添えて提供したりと、スタッフが植物を扱う姿を積極的に顧客にアピールしていることが分かる。

花とふれあう様子を積極的に見せているとことがまたステキ(笑)。ふれあっている風景が、心理的なプラス効果を大きく与えるそう。素晴らしいプレゼンテーション力である。

おもてなしのデザイン

その他、ディズニーやANA、JALなどの記事もあったが、おもてなしのデザインとは、最高に気持ちのいい体験をデザインの力で提供すること。お客様の気持ちを常に考え、心地よく利用してもらうために何をすればいいかを常に考える姿勢が重要になる。決してがっかりさせてはいけない。

ザ・ウィンザー・ホテルズインターナショナル社長、窪山さんの「もてなしは既存のサービスを壊すことから始まる。」の言葉にはぐっときた。「あたりまえという固定概念からお客様の不満を解消できないことも多い」と。

ソーシャルメディアが広がり、透明の時代になりつつある今、どんなサービスにおいても「おもてなし」は非常に重要な要素だと思う。この特集を読んで、改めて「おもてなし」について考え直したい。

特集内容

ナビゲーション

  • イケア(家具・雑貨店)
  • サンシャイン水族館(アミューズメント施設)
  • Magic(コンタクトレンズ)
  • interview ディズニー究極のおもてなしは「安全」
    西尾健一氏/オリエンタルランド運営本部セキュリティ部セーフティープランニンググループマネージャー

プレゼンテーション

  • HONEY BEE SoftBank101K(スマートフォン)
  • ZUSSO KIDS(子供専用ヘアサロン)
  • Aoyama Flower Market TEA HOUSE(カフエ)
  • column ANAとJALの空飛ぶおもてなし

レコメンデーション

  • スカパー! e2(有料放送サービス)
  • column 30万人の顧客に届く販促ツールとは?
  • interview もてなしは既存のサービスを壊すことから始まる
    窪山哲雄氏/ザ・ウィンザー・ホテルズインターナショナル社長


ご興味のある方はこちらからどうそ。
日経デザイン2012年1月号 詳細

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